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報告ができる組織とできない組織 ~「報告ができる大前提は指示命令系統を明確にすること」~

2023.06.05

仕事の仕方

報告ができる組織にする為には、誰がその成果に対しての責任を持っているかを明確にし、成果に対しての仮説を描かせることが大切です。

目次

  1. 指示命令系統
    1. 報告ができる組織の大前提は、「指示命令系統」
    2. 「成果」や「成果に対しての仮説」に責任を持たせ報告させる
    3. 複数階層においては、報告のムダが発生する事が多い
    4. 無駄な帳票作りを避けるには、情報の共有(連絡)が大切

指示命令系統

1-1. 報告ができる組織の大前提は、「指示命令系統」

報告ができる組織の大前提は、「指示命令系統」がしっかりしていることです。「指示命令系統」がしっかりしているということは、「誰が責任者であり、誰が成果にこだわるのか」が明確になっていることと考えています。

これに対しては、全員がリーダーであり、主体者なので、責任者を明確にすることは、意識を限定してしまう問題があるという指摘もあるかもしれません。もちろん、全員がリーダーで主体的な組織というのは理想ですが、能力もやる気も課題がある組織の方が多いと感じていますので、まずは、指示命令系統を明確にすること、その上で、指示命令系統を大切にした上で、部門間のコミュニケーションや連携も推奨することが順番としてはいいでしょう。

 

1-2. 「成果」や「成果に対しての仮説」に責任を持たせ報告させる

指示命令系統がしっかりとしていると、その組織が責任を持っている「成果」やその成果を実現しようとしている「成果に向けての仮説」が明確になります。この「成果」や「成果に向けての仮説」の進捗状況こそ、会社の経営者や経営幹部が常に把握しておくべき内容ですから、この内容が報告され共有される状態を構築することが大切になります。

当たり前と感じるかもしれませんが、様々な組織を見ていく上で、この点が曖昧になっていることが多いと感じています。社長がトップダウンで組織を動かして、曖昧にしてしまっている場合もあります。シンプルですが、まずは、正しい報告がなされる組織を作ろうとするのであれば、誰がその「成果」に責任を持っているのか、その責任者は「成果に向けての仮説」を進捗状況含め報告できているかという視点で振り返ってみて下さい。

また、「成果」や「成果に向けての仮説」に責任を持っている人にこそ、それに必要な経営資源に対して権限を設定する事が大切です。たとえ、社長や経営幹部であっても、「成果」に責任を持っている人の経営資源を勝手に活用するのは望ましくありません。逆に、責任を持っている人は、「成果」と成果を実現する「経営資源」を会社から任せられている状態ですので、報告の義務が発生しててくると考えます。
チームメンバーには、自チームが何の「成果」に対して責任を持ち、会社に対しての「報告」義務があるという事を把握させておく必要があります。また、その「成果」や「成果に向けての仮説」に影響がありそうな情報を、責任者である管理職に集約させること(報告すること)が大切だと理解させておくことが重要です。

もちろん、何が「影響がありそうな情報」なのかを、チームメンバーが判断するのは難しい可能性がありますので、その場合は具体的に報告すべき情報を明示する必要があります。ただ、具体的に報告すべき情報の項目だけを伝えて、その項目が何故重要なのかを説明しないということは無いようにしましょう。目的を伝えない指示は、受け身の社員を作ってしまうリスクがあるからです。

 

1-3. 複数階層においては、報告のムダが発生する事が多い

前述のように、指示命令系統を明確にすることで、成果への責任を明確にすることが可能ですが、1点注意があります。同じ「成果」を複数階層で扱う場合です。たとえば、営業目標の達成を営業部長と、営業課長が担っているケースです。この時にコミュニケーションのムダが発生している事が多いので、ここで考えてみます。

具体的な問題場面としては、「無駄な報告資料が増える」という事です。ある程度の規模の会社であれば、経験がある方も多いかもしれません。

たとえば、営業部隊でDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる組織があるとします。そこでは、部長が新しいDXという内容を把握仕切れず、部下の課長に任せてしまっています。うまくいっている時はよいのですが、うまくいっていないときに問題は発生してきます。部長の上司である役員から、部長に改善施策を求められました。普段は課長に任せている部長であっても、指示があれば、課長に関与しようとしてきます。

この時に、改善をしようとして、部長が課長に報告資料(改善報告書など)を求める時があります。「重点顧客を洗い出しリスト化して追加施策を考えろ」や、「休眠顧客を洗い出してリスト化しアプローチしろ」がこれにあたります。課長からしてみると、普段からDXを通じてシステムに情報が掲載されているはずです。せっかく、そういった取り組みをしているのに、追加で新しい帳票を、部長が上への報告用に求めてくるのですから、無駄な業務になってしまいます。下手にやる気を部長が発揮するよりも、放っておいてもらった方が良いと思うという事になりかねません。

DXに取り組んでいる組織でなくとも、無駄に帳票が増える理由はこういった背景があります。これが結果として、複数帳票によるムダを発生させる要因となります。

1-4. 無駄な帳票作りを避けるには、情報の共有(連絡)が大切

では、そのようなムダを発生させないためにはどうしたら良いでしょうか。

一つ目に考えられるのが、システム投資を行い、情報の共有化を図ることです。これにより、新しい帳票をもとめていた部長は、システムを活用することによって、自分で求める情報を得られるようになりますので、課長に追加の新しい帳票を求めずとも済むようになります。もちろん、部長は新しいシステムを使いこなすことが大切になります。

二つ目に考えられるのが、施策の目的と仮説を縦のラインで共有しておくことです。部長が欲しい情報と、現場が活用したい情報を一致させておくことで、レポートラインをシンプルなものに留めておくことができます。ただし、レポートラインをシンプルなものに留めておくことの重要性が理解できている組織は残念ながら少ないのが実情です。
責任を持つ人が課長であれば、課長が方針(成果や成果に向けての仮説)を示し、部長はその方針を尊重して指示や追加施策を指示だしができ、部下も課長の方針に基づき自立的、自主的に動くことが可能になります。逆に、課長が自らの方針も出していない(部長に対して報告できていない)のに、部長から施策がおりてきて追加の帳票を求められたことに対して不満をもっているのであれば、それは課長の職務怠慢ということが言えるでしょう。