2023.08.03
業務プロセス改善
業務フローを最初から完璧にするのは大変です。そこで、コミュニケーションコストを下げる業務フローという観点をご紹介します。
業務フローでマニュアルを作成するという事は多くの会社で実施されていると思います。 では、この業務フロー、どの程度業務を網羅すべきなのでしょうか?
この点は、対象と業務フローによって変わってきます。たとえば、システムのように、完全に手離れすることが必要な場合、ほぼ100%に近い流れを組んでおくという必要があります。
今回は、システムのようなケースではなく、ある程度、人を中心に行う業務フローについて話をします。その際に、まず、業務の7割~8割のフローを組むという事を提案します。
何故、業務の7割~8割とするのか。ポイントは以下の点です。
まず、10割の業務フローを組むと、業務フローを作るのが大変になります。大変でも、その業務フローが機能すれば良いのですが、全ての内容が網羅された業務フローは、逆に、細かすぎて誰も目が通せない業務フローになってしまうリスクがあります。
加えて、業務フローで詳細な部分を整理しようとしても、実は、その部分は難易度や業務の特性から一部のメンバーしか実行ができない内容のケースがあります。一生懸命この部分を整理しても、マニュアルでは標準化が難しく、むしろOJTや動画で共有した方が効果があるという面もあります。
でも、全部の内容を業務フローにのせなくても良いのでしょうか?せっかく、フローを作成するのだから、しっかりと情報をのせた物にしたいという気持ちはわかります。
前提として、業務フローがない現在でも、業務は回っている状態だとします。ただ、新しい社員が入ってくるとか、コミュニケーションロスが発生しているのでルールを明確にするとか、そういった目的で業務フローを組もうと考えているということを想定します。
まったく、やったことがない業務フローを組む場合は、業態開発やサービス開発に近く、事前のたたき台と細かくPDCAを回して開発するフローが必要になりますので、今回説明する業務フローとは区別して捉えて頂ければと思います。
さて、現在、回っている業務の標準化の場合は、まずは、イレギュラーをはずした通常の流れに基づいたものを作成するようにしましょう。感覚的に言うと、おおよそ7割~8割程度の業務をしめる内容です。
それって意味があるのかと感じられる方かもいるかもしれませんが、実は7割~8割のルールを固めることで、その7割~8割に関しては、ルール通りに行ったものだからと説明が不要になるのです。このコミュニケーションコストの削減は、業務フローを整理する上で、非常に大きなメリットになります。
一方で、イレギュラーが発生した場合は、これまでと同様にコミュニケーションをとって、相談しながら解決していく流れにするのです。こうすることで、業務フローを作成する上で、まずは7割~8割のよくある流れを整理ができ、若手にまず理解してほしい流れを可視化できます。加えて、コミュニケーションの多くを占める部分を可視化することで、コミュニケーションコストが削減できます。
業務フローを作成することで、報告・連絡・相談するポイントが絞られる、この事が、業務フローを作成する意味合いになります。
実際、こういった取り組みをすることで、ある会社では、毎週3時間ほどかけていた会議を、時間をのばすことがなく、月1回にすることができました。会議には14名ほど参加していましたので、月間100時間ほど、会議の時間を削減し、かつ、業務フローによる問題も削減することができたのです。
このように、業務の可視化の目的を、業務の習得にあてるだけではなく、コミュニケーションコストの削減につながる業務フローを作ってみるというのは非常にお勧めできます。
1点、注意点があるとすると、大きな損失やリスクがある場合は、その点はそんなに起きないケースであっても、チェックリストにして確認できるようにする必要があります。この点は、念頭において下さい。
このようなコミュニケーションコストを削減する取り組みを行う代表的な業務フローがコールセンターのFAQです。よくある質問をFAQにしてインターネットで公開することで、電話の件数を削減する取り組みです。
このように、業務フローの目的の中に、コミュニケーションコストの削減という指標を置いていただくと、より効果的な報連相を実現できる業務フローに繋がっていきます。