INTRODUCTION RESULTS 自販機コラム作りの教科書と練習帳

■ 自販機オペレーター様

自販機オペレーターの仕事は、ただ缶を補充するだけではありません。売れ行きを読み取り、その場でコラム構成を瞬時に判断する――そんな高度な意思決定が求められます。にもかかわらず、採用の現場では「補充だけの簡単な仕事だと思って入社したら、想像以上に考えることが多くて辞めてしまった」という声が後を絶ちませんでした。実際、この会社様でも3年目までに辞める新人が目立ち、人材が定着しないことが大きな悩みになっていました。

成功要因

  1. コラム構成の考え方を体系化 ~暗黙知を教科書に落とし込む~
  2. コラム作りドリルを若手人材育成に活用 ~OJT前に仕事のコツを学ぶ~
  3. 採用時の“適正検査”として活用 ~採用のミスマッチを防ぎ、応募者とwin-winの関係を築く~

 

1. ① コラム構成の考え方を体系化 ~暗黙知を教科書に落とし込む~

課題の根底にあったのは、ベテランだけが感覚で理解しているノウハウが、体系立てて共有されていないことでした。そこで私たちは、まずベテランたちにヒアリングを行い、経験則をとことん言語化しました。

それをまとめたものが、「コラム構成の教科書と問題集」です。これは様々なシチュエーションを想定しながら、どのようなコラム構成にすると最も効率よく自販機の訪問計画が立てられるか、そのセオリーを学べるような教材です。

解答よりも“考え方の道筋”を書き込む欄を重視しました。点数だけでなくプロセスを可視化することで、指導側がつまずきポイントを的確にフォローできるようにしたのです。

問題集のレベルも、①初級→②中級→③上級とあり、初級レベルでは本当に単純な計算問題に近いですが、上級レベルになるとベテラン陣でも解釈が分かれるような実践的な問題になっています。

2. ② コラム作りドリルを若手人材育成に活用 ~OJT前に仕事のコツを学ぶ~

新人は現場に出る前に練習帳に取り組み、解答を先輩と一緒に検討します。「なぜこの構成では在庫が足りなくなるのか」「ここでコラムを入れ替えるのとダブらせるのではどちらが売上を伸ばせるか」――机上演習と実機確認を往復することで、数字と現実とを結びつけて学べる仕組みができました。

点数は理解度の確認にも活用できます。売上や欠品率はエリア要因に左右されがちですが、テストスコアなら個々の理解度を客観的に把握できます。結果として 「何を伸ばせばよいか」 が明確になり、育成計画も立てやすくなりました。

勉強会を実施する前は、「学校を出たのにまたテストかー」という事にならないか心配していたのですが、実際には、以外と若手本人たちのウケが良く驚きました。どうしてもこれまでのOJTだと教育方法にバラつきがあり、コツをあまり理解しないままルート業務をしていたメンバーが多かったそうです。

若手にとっても、教科書を通して、基本的なセオリーを体系的に学べるようになったので、やらされ感ではなく、自分で仕事のスケジュールを組み立てるという主体性が生まれてきました。ルート業務は面白いもので、自分が成長してやり方を工夫すれば、そのまま実績となって現れます。勉強会を通してこの感覚を学べるようになりました。

3. ③ 採用時の“適性検査”として活用 ~採用のミスマッチを防ぎ、応募者とwin-winの関係を築く~

この会社では、人材育成に留まらず、採用面接時にも応募者にこの問題集を解いてもらうようにしました。いわば他業界で言う”フェルミ推定”のようなものです。

実際の面接時には解けるかどうかよりも、「仮説を立て、試行錯誤する過程を楽しめるか」を重視しているそうです。これによって従来は面接時の受け答えや経歴などイメージだけで採用していたのが、「この仕事を楽しめるかどうか」という観点も含めて採用できるようになりました。

驚いたことに、この取り組みを始めて2年後に、非常に高い効果となって表れていて、この会社では離職率が減っただけでなく1年目の夏シーズンから上位の成績に食い込むレベルの新人が現れるようになったそうです。

まとめ

自販機業界は労働環境の厳しさが語られることもありますが、だからこそ 「人を育てる仕組み」 が会社の競争力を決めます。「コラム構成の教科書と問題集」は、暗黙知を共有知に変え、仕事の“面白さ”を新人に渡す小さな仕掛けです。

ひとつの工夫が、“ただの補充作業”を“自分の腕で売場をデザインする仕事”へと変える。

この事例がそのようなヒントになれば幸いです。

 

支援形式 概要 期間
自販機DX
コラム構成教育支援
  • 事前ヒヤリング
  • 教材の提供 または カスタマイズ開発
  • 研修プログラム構築・講師派遣
  • OJT伴走・改善提案
3ヶ月