2023.12.23
評価制度構築
部長の仕事と課長の仕事の違いをうまく説明できますでしょうか?組織の運営や報告のあり方をよくしていくためには、この役割の違いを正しく理解することが大切です。
報連相を求めた時に、「なかなか報告が上がってこない」という事もそうですが、そもそも「正しく自分の役割が理解できているのか」と社長や経営幹部が感じるケースがあります。
正しく役割が認識できていないと、それに伴った報告を期待する事が難しくなることから、会社における役割を明確にしていくことが大切になります。
特に社長からすると、何故、もっと会社全体をみて主体的に動いてくれないのかと感じることがあります。皆様の会社では、部長が何を担うべきか、課長が何を担うべきか、明確に役割が決まっているでしょうか?
この役割分担を上手に示すことが出来ている会社は少ないと感じており、何故、役割分担を示すことが難しいのかという理由とともにご紹介します。
よくある問題としては、社長が難しすぎる指示を課長に出すケースや、部長に対して部長としての役割を求められていないケースです。
これが生じる原因としては、創業者の社長が独立した際に、大手企業で部長や事業部長まで経験してから会社を起こすケースが少なく、新入社員や主任くらいまでの役職は理解できるけれど、課長や部長が何をする役職なのか理解できていないことがあげられます。
その為、社長としては、部長や課長に対して、正しく役割を示し、責任を担わせ、報告を求めることができないということもあげられます。
また、もう一つ難しいのが、役職が上がる際に求められる役割が、従来の仕事の延長線上にないということです。つまり、売れる営業マンだからといって主任や課長、ましてや部長の仕事ができるとは限らないのです。
その為、最初誤って役割分担を設定したものが、時がたつにつれて改善ができず、組織の問題としての残り続けるということが発生します。
部長、課長、主任が担うべき役割を見てみましょう。
主任は、自ら良いレベルで業務を行うと同時に、「育成」が求められます。課長は、主任の育成と同時に、「チームの数値の達成」や「PDCA」が求められます。
課長が既存枠組みの中で成果を出すこと、改善を行うことが求められるのに対して、部長は、「新しい仕組み作り」や「部門連携」、「経営資源の獲得」が求められます。これらの部長に求められる能力については後述します。
もちろん、会社によって、役割分担があり、評価制度も異なるため、この内容と合致しないと感じている方も多いかもしれません。しかし、上記の経営機能は、おおよそどの会社でも求められる内容であり、かつ、難易度順で並べられていると捉えて下さい。
部長の上の本部長や事業部長を任せる時に、この主任や課長、部長としての能力を十分に養うことができないと、組織としてうまく機能しない、役割としての適切な責任が担えない、きちんと報告が上がらない事につながります。
ここからは部長が果たすべき役割を3つ説明します。
部長には自部門だけではなく、他部門との連携をスムーズに行えるようにする役割が必要です。これがそんなに難しいのかと感じる方もいるかもしれませんが、部門連携を効果的に行おうとすると、自部門の成果達成にコミットしつつ、他部門の状況を把握し、適切な役割分担を実現することが必要になります。当然、営業であれば営業だけの業務を把握すれば良いわけではなく、企画や設計、製造といった他部門の業務も把握する必要があります。
他部門の成果への取り組みに対して、部長は正しく理解し、双方にとってよいビジョンを提示し、調整することが求められるのです。
経営資源の獲得は、部門としての役割を果たす上で、必要な人員・資金・時間を、会社もしくは会社が持っていない場合は、それらを獲得していく動きをするということです。
課長までは、ある程度提供された環境の中で、改善や取り組みを推進すれば良いのですが、部長となると、部の成果を実現するために、必要な経営資源を獲得する動きが求められるのです。
会社から経営資源を獲得する場合は、自部門が実現する成果の重要性や必要性をしっかり説明するという責任が発生しますし、成果に対する覚悟を持つことが必要です。
既存の仕組みの中で成果を出すことが求められる課長と違い、部長は既存の仕組み以外の新しい仕組みを構築することが求められます。場合によっては外部を上手く活用しながら、仕組み作りを行います。
この新しい仕組みを導入する上では、重要性を伝え、社内で実行できる体制を構築し、構築後の進捗をフォローを行う役割です。
部長と課長の役割を一つの基準としてご紹介させて頂きました。これを皆様の会社の部長や課長に当てはめて、ということではなく、多くの会社の仕組み作りや組織作りを行う中で、管理職が機能せずに打つかっていた内容ですので、管理職に責任を担わせるにあたり、部長クラスに求められる内容として認識頂くことが出来ればと考えています。
たとえば課長に対して、上記の「部門連携」「経営資源の獲得」「新しい仕組み作り」を求める場合にはフォローが必要なりますし、通常の課長の権限よりも大きな権限を提供するなど、適切な役割の果たし方や報告の仕方を示すことが必要になると理解することが大切です。
部長に対しては、課長としての役割だけで止まるのではなく、部長としての役割をしっかり果たしていくことを求めていきます。そうすることで、皆様の会社においても、役割に応じた責任とそれに伴う報告がなされるようになります。