2023.08.03
業務プロセス改善
部門間連携を実現するという業務フローの特性を踏まえて、業務フロー構築をスタートする上での注意点やポイントを紹介します。
業務フローの構築は実は非常に難易度が高いものです。なぜなら、業務フローの特性上、部門連携が必要になってくるためです。
部門連携は、課長までの職務スキルでは難しく、部長が実行すべき難易度の業務です。なぜ部長が実行すべきかというと、自部門の目標を達成しつつ、他の部門の状況を把握して、適切な役割分担を実現する必要があるからです。
たとえば、営業が後工程の企画や制作などに対して、営業をとってくるのは大変なんだから、受注が営業の仕事で、それを納めるのは企画や製作の仕事だと言ってしまうと、業務フローは望ましい形になりません。
立上げ時期の会社では、営業が重要になりますから、営業優先の業務フローでも良いかもしれませんが、徐々に会社のマーケティング力や営業力が高まってくると、会社の成長のハードルは受注ではなく、企画力や製造力などに移ってきますので、業務フローの見直しが必要になってきます。
このように扱いが難しい業務フローですが、業務フローがないと何が問題になってくるのでしょうか?改めて現場を見てみます。
業務フローが必要だという事が目に見えて分かるのではなく、初期症状は、業務連携ミスによるクレームやトラブルの発生です。
クレームやトラブルが発生したのに対して、社長や経営幹部が状況を把握し問題を整理していくと、行き着く先は、コミュニケーションミスです。感覚的には、「もっと、現場でコミュニケーションしてくれればこの問題は発生しない。きちんとコミュニケーションを取ってくれ」という状態です。
この状態で業務フローが必要だと気づけるか、もう少し問題が多発するようになってから気づくかは会社によって違いがありますが、このコミュニケーションミスが、業務フローが必要になってくる初期症状だと捉えて下さい。
実際、現場に行ってインタビューするとこういった声が聞こえてきます。
このように後工程の方の方が、何が問題か見えていることが多いです。ただ、ミスは後工程で発生するので、後工程の方の責任になることが多いのですが、実はその真因は、しっかりとスケジュール通りにお客様と合意ができない事に繋がってきます。ただ、営業にその意識が低いのが非常に大きな問題です。
製造業の場合は、より一層その基準が厳しい時がありますので、製造に着手してから修正をかけるということはなかなかないですが、製造に伴って部品や原料を発注する必要があり、営業の情報が早ければ早いほど、在庫のリスクや負担を削減することができます。
建築の場合も輸入材などを活用している場合は、通常より早い段階で発注をする必要があり、その認識を営業や設計段階で持てていないということも珍しくありません。
このような現場の状況は放置しておくと、在庫リスクやミスにつながる内容であり、会社に損害が生じるだけではなく、お客様に迷惑をおかけする内容になります。
これを解決する上で、業務フローが非常に大切になってくるのですが、注意点としては、ミスは後工程で起きているからと、後工程だけで業務フローを作ると、あまり効果的な業務フローにならないということです。
必ず、前工程から後工程の流れを業務フローで組むようにして下さい。特に、営業が、「受注は大変なんだから、取ってくるまでが営業の仕事だ」というスタンスだと、なかなか効果的な業務フローにつながりません。
後工程の方も、仕事がないと、会社の売上がたたないということは理解していますので、業務フローに問題があっても、自分達が最後責任をもってなんとかしないといけないと抱えてしまう形となり、問題に対して手が打てないということになります。
その為、業務フローの打合せには、必ず社長や営業責任者も関与する形が望ましいです。各部門が、自部門が動きやすいようにコミュニケーションするのではなく、お客様に迷惑をかけない為に、どの部門に負荷がかかっているかを確認した上で、適切なルール、役割分担を決めていく。それが、業務フローを構築する上で大切になってきます。