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成果発表会のススメ ~ナレッジ共有の組織風土の作り方~

2023.12.20

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントでは、いかに気持ちよく自身のノウハウを共有できる風土や場面を設計するかが大切です。

今回は、そんな場面としての成果発表会のポイントを紹介します。

目次

  1. 成果発表会によるナレッジマネジメント
    1. ナレッジを共有した時に「良い気持ちを持てる仕組みがあるか」が大切
    2. 成果発表会は負担も大きいがメリットも大きい
    3. 成果発表会を行う上での注意点

成果発表会によるナレッジマネジメント

1-1. ナレッジを共有した時に「良い気持ちを持てる仕組みがあるか」が大切

情報共有するための仕組みやシステムなどはできたけれど、その情報共有をする組織風土ができていないという声は良く聞きます。
ナレッジの共有をする為には、個々人の工夫や保有しているノウハウなどを発表してもらい共有してもらうことが大切です。しかし、社員が、何故、自身の工夫を発表して共有しないといけないのかという気持ちになってしまっては、なかなか共有は進みません。

ポイントになってくるのは、ナレッジを共有した結果、「良い気持ちになった」という経験を持つことです。例えば、ナレッジを共有した結果、表彰をされたり、相手から感謝されたりすると、自然と次にもナレッジを共有しようという気持ちになります。

優れた営業管理職の中には、敢えてベテランだけではなく、若手にもアドバイスを聞き、そのアドバイス通りに実演して成果を出して、「〇〇さんのおかげで成果がでたよ。さすがだね」と、次からもそういったアドバイスをしたい、取り組みをしたいと感じられるように工夫をしている人もいました。

今回は、ナレッジ共有した結果、良い気持ちを持ってもらう工夫の一つとして、「成果発表会」を紹介します。

 

1-2. 成果発表会は負担も大きいがメリットも大きい

成果発表会は、ある一定期間の間、各店舗や部門で取り組んだ内容を、発表し共有するというものです。発表内容の整理や、発表場面の設定など、負担も大きいですが、実施することによるメリットも非常に大きいです。

まず、メリットの一つ目としては、成果事例の発表ですので、ナレッジの共有が進みます。成果の大きさから、その成果を出した工夫、ぶつかった壁と壁を乗り越えた施策など、単なる事例だけではなく、プロセスが共有されることで、情報共有が進みます。

メリットの二つ目は、発表する側にスポットライトがあたることで、承認欲求や自己実現の欲求が満たされます。1回で終えることなく、2回目、3回目の発表を促していくことで、頑張った活動がしっかりと評価されることにより、徐々に発表することへの姿勢が主体的なものに変わっていきます。

また、三つ目のメリットとして、成果発表会の場があることで、日々の活動で発表できるものを作らないといけないという、ある種の「納期意識」が生まれます。単に数字を達成するだけではなく、その過程での工夫も評価されますので、しっかりと仮説を描いて、PDCAを回さないとという意識を高めることができます。

1-3. 成果発表会を行う上での注意点

非常に効果がある成果発表会ですが、いくつか注意点があります。

  1. 発表が目的になってしまう

    成果発表会の直前になって、何か発表することがないかという事を探すケースです。特に、成果発表会の取り組み初期では、日々の業務の流れに流されて、気付いたら成果発表会の1ヶ月前ということになってしまっているということがあります。

  2. 現場と発表がつながっていない

    他の店舗や部門の発表で良い事例を聞いても、「良い話を聴いた」、「あの店舗は凄い」で終わってしまい、「自分ごと」にできないということがあります。

一つ目の発表が目的となるということに対しては、「仮説を描き、仮説に基づいてPDCAを回す」という取り組みが出来るようにしましょう。そうすることで、「仮説を描く」こと、「PDCAを回す」こと、仮説が実行できるようチームビルディングを行う」こと、「取り組んだ成果を振り返って分析、共有する」ことが実現できるようになってきます。ある経営者の方は、「成果発表会には全てが含まれている」という表現をされていらっしゃいました。

二つ目の現場と発表が繋がっていないということに対しては、「共通言語」を作ることがお勧めです。業務フローを統一させて、どの業務で活用するノウハウなのかを明示したり、プロフィットツリーのようにしてどの成果を実現する取り組みなのかを明示したりすることで、発表する側、発表を聞く側、両方に同じ言葉ができることで、ナレッジの共有を加速させることができます。

もちろん、成果発表以外でも、ナレッジを共有した相手に、感謝の言葉が届く、社内向けのFAQやナレッジベースなども、アドバイスをした相手に喜んでもらう経験から、風土が良くなるという事例もあります。

ナレッジ共有の仕組み、システムを整えると同時に、ナレッジを共有する組織風土面の取り組みや仕掛けを考えてみることが大切です。