2023.06.05
仕事の仕方
報告ができない部下の問題をなげく前に、まず、報告がよりしやすくなる指示の出し方を考えてみましょう。報告ができない理由を整理しながら、そうならないようにするための指示のポイントを説明します。
「報告がこない・・・」。多くの管理職が悩むテーマです。とはいえ、矢印を部下に向けていても、改善はなかなか進まないので、改めて、報告が上がってこない要因を考えてみましょう。部下は、分からない事が多いから部下をやっているので、上司の指示の出し方の精度をあげる方が現実的と言えるかもしれません。
報告が出来ていない部下の内容を考えると・・・
改めて見ると、頭がいたくなる内容ですが、上司としては、今いる部下を最大限活用して成果を上げていくことが求められるので、上記の一つ一つに対策を考えてみましょう。
比較的凡事に近い内容ですが、まずは「メモを取らせましょう」。「メモ」をとっていなければ指摘をするくらいがちょうど良いです。しかし、部下の中には、なかなか一筋縄ではいかないメンバーもいます。とったはずの「メモ」が見つけられないのです。その為、「メモ」でとどまらずに、場合によっては「メモにとったタスクを管理する方法」まで指導してあげることが大切です。その場合のポイントとしては、一元管理です。なるべく限られた箇所で一つのルールで管理するようにします。
具体的にどう徹底するかというと、例えば、外出中に電話でタスクの依頼が来た時のことを考えてみます。この場合は、電話の相手に同じ内容をメールで送ってもらう、それが難しければ電話が終わった時点で、スマホから自分宛にタスクをメールで送るなどです。そのルールを決めておくのです。もちろん、この場合はメール処理についてしっかりとしたルールで回せるようになっている必要があります。
他に注意点があるとするとLINEやSLACKなどのチャットツールです。タスクの依頼がどんどん新しいメッセージで入ることによって、画面の上に消えていきます。リアルタイムで伝える上で適したツールですが、部下に一定のタスク管理力を求めるツールであるとも言えますので、注意しましょう。
期待値を伝えるのはなかなか難しいことです。頭の中にあるものを確認するのは難しいので、期待値が正しく伝わったか、同様のアウトプットやラフスケッチなどでその場でイメージを確認できるのが望ましいと言えます。
しかし、それを伝える情報が手元に無い場合があります。場合によっては、指示を出すこちら側も、なんとなくの方向性は分かるが、実際に作業してみないと見えてこない内容もあります。
その場合は、こまめに中間確認のタイミングを設けてすり合せることが大切になります。部下にとってみれば、明確にしてから指示を出して欲しいと言いたくなるかもしれませんが、抽象的な内容を実行できてこそ付加価値の高い人材になれる、信頼できる●●さんだからこちらもみえていないけれどなどと、しっかりとコミュニケーションをとって、アウトプットベースではなく、目的から依頼をしていくなども部下のレベルや、業務の状況によって必要になります。
残念ながら、「はい」と非常に良い返答をした若手の部下が、実は正しく理解できていないというのは良くあります。そこで、「何か分からない事ある?」と質問を促すことが大切になります。・・・が、何が分からないか分かっていたら、まだ良いという事もあります。そもそも、何が分かってないか分からないのです。なので、ごまかしているつもりもなく、「はい。分かりました」と元気の良い返事がきます。
その場合は、「復唱」させてみましょう。口にすることで、こちらも確認することができますし、部下自身も自分が思ったよりも理解出来ていないと言うことが分かります。
「報告がこない」と感じているならともかく、思いつきで出した指示を確認するのを忘れるというのは絶対避けるようにしましょう。忘れても影響が少ないタスクだったので、業務上は問題が無いかもしれません。しかし、そういった事を経験するようになると、部下は今回のタスクはすぐに着手せずに指摘をされたらやるようにしようと、「タスクを流す癖(習慣)」を持つようになります。部下は「まだ、できていません」と報告すると、上司にタスクを思い出させるような気がして、指摘されるまで報告をしないようになります。
実は、こういった部下は、ワンマン経営者の下に多いのです。特に、朝令暮改でPDCAが早い経営者の場合は、朝出した指示の重要性が、夕方には変わっている可能性があり、部下からすると、すぐに動かずに様子を見た方が良いという考え方になります。とはいえ、経営者のPDCAのスピードを遅らせたり、タスクの細かい部分も確認してもらったりするのは、経営からするとマイナス要素です。その為、こういった部下の悪い癖付けにならないように経営幹部や管理職を育成し、朝礼暮改の軌道修正の背景も一緒に伝えられるようにしていくことが非常に大切になります。
以上のような報連相に関しては、上司を指導するのが、基本的には望ましいといえます。ただし、ベテラン社員だったり、自分自身が背中をみて育ったりした管理職が、仕事の仕方を変えるというのが難しい場合もあります。
上司の方を変えるのが難しい場合は、上記の視点で部下を教育した方が早い場面もあります。ただ、新人研修で若手向けの報連相研修をやるときには、事務局の方から、「報連相研修をしっかりと教えても、実はうちは上司の方が問題でして、研修でしっかりとしたことを学んでも、現場に戻ると上司が対応しておらず使えないことが多いんですよ」という話をよくきく事があります。
その為、報連相を取り扱う時、正常な状態で「あるべき論」を語るよりも、上司、部下ともに忙しく、十分な時間がとれない、その中でも、うまく回る方法ややり方は何かを提示してあげ、適応できる方を軸に組織の報連相のレベルを引き上げていくことが大切になります。