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個人戦から団体戦へ──全国500名の営業を動かした「共通言語」の力

2025.05.24

営業力向上

個人戦から団体戦へ──全国500名の営業を動かした「共通言語」の力

営業活動の現場では、これまで「成果は個人任せ」という文化が色濃く残っていました。しかし、マネジメントの限界や働き方の変化を背景に、今、営業組織のあり方に変化が求められています。

とくに注目されているのが、組織で戦う「団体戦」への移行。そしてその鍵を握るのが「共通言語」の存在です。本記事では、全国500名・50拠点に展開された事例をもとに、「団体戦」と「共通言語」が営業現場に与えるインパクトを解説します。

目次

  1. 個人戦から団体戦へ──全国500名の営業を動かした「共通言語」の力
    1. 「個人戦」の限界と「団体戦」が求められる理由
    2. 「団体戦」を支える共通言語とは
    3. 団体戦の実現を支える環境変化とツール活用
    4. 全国500名・50拠点で展開された団体戦の事例
    5. まとめ:これからの営業組織に必要なこと

「個人戦」の限界と「団体戦」が求められる理由

この企業では、全国50カ所に営業拠点があり、合計で約500名の営業担当者が在籍しています。1拠点あたり平均10名という体制の中、営業所長のマネジメントスキルによって業績に大きなばらつきが出ている状況でした。力量のある営業所長はごく一部に限られ、その一部の拠点だけが業績を牽引しているという偏りが生まれていました。そのため、マネジメントの力だけで営業成果を安定させるには限界があり、「団体戦」的な仕組みの導入が不可欠となってきたのです。

加えて、営業担当者一人ひとりが「忘れる・飽きる・楽をしたがる」動物であるという前提に立つと、個人任せの営業活動では継続的な改善が難しいのも現実です。

「団体戦」を支える共通言語とは

こうした状況の中で重要性が高まっているのが、「共通言語」の整備です。共通言語とは、組織内でメンバー間の理解をスムーズにし、誰もが同じ前提に立って会話・行動できるようにするための言葉や表現のことです。

特に以下の3つの効果が大きなポイントです:

  • お互いから学ぶことができる
  • 説明や確認の時間が短縮できる
  • 全員が同じ方向を向くことで意欲や情熱が高まる

共通言語が整備されている組織は、「足し算」の組織から「掛け算」の組織へと変わっていきます。

団体戦の実現を支える環境変化とツール活用

団体戦、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、以前に比べて容易になりました。たとえば、ZoomなどのWeb会議システムによって、拠点間の物理的距離は大きく縮まりました。さらに、SFA(営業支援システム)の導入により、各営業担当者の活動状況やナレッジがリアルタイムに共有・可視化されるようになっています。

共通言語も、これらのITツールによって社内に浸透しやすくなりました。用語や行動基準が共有しやすくなり、現場での状況も集計しやすくなるため、組織的なPDCAがまわしやすくなったのです。

全国500名・50拠点で展開された団体戦の事例

この企業では、共通言語の整備とITツールの活用を通じて、500名の営業担当者に向けた団体戦の仕組みを展開しました。これまで各営業所ごとに属人的に行われていた取り組みが、共通言語を用いて標準化され、全体最適に向けた連携が可能に。営業所長のスキルに依存せず、各拠点が同じ軸で活動できるようになりました。

実際に、「他の営業所の取り組みを知ることで、自分のやり方も変えられた」「共通の指標があることで成果が見えやすくなった」「一体感が高まり、やる気につながった」といった現場の声も多数上がっています。

まとめ:これからの営業組織に必要なこと

個々人のがんばりに依存する「個人戦」から、組織的に成果を出す「団体戦」へ。

これを実現するには、共通言語によって行動や成果の基準を揃え、ITツールによって全員の活動を見える化し、支え合う仕組みが必要です。働き方の多様化が進む今、課長・所長といった中間管理職だけにマネジメントを任せる時代は終わりを迎えつつあります。組織全体で成果を生み出すために、共通言語と団体戦の発想は今後ますます重要になっていくでしょう。