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事業の成長と回収を両立するために──FC化に潜むリスクと対応策

2024.06.04

フランチャイズパッケージ

FC展開を検討する際、市場の変化スピードまで織り込めていますか?成功の鍵は、事業モデルの「持続性」と「改善体制」にあります。

目次

  1. 短命化する業態ライフサイクル──背景と影響
    1. 収益モデルの崩れやすさと初期投資のリスク
    2. 競合・嗜好変化によるコモディティ化の現実
  2. FC展開の強みと落とし穴──シミュレーションの盲点
    1. FCで市場チャンスを取り切るという発想
    2. 変化を見据えた計画設計と改善体制の重要性
  3. FC化を成功させるための3つのチェックポイント
    1. ライフサイクルの長さと改善力
    2. 加盟店との関係性とネットワーク性

短命化する業態ライフサイクル──背景と影響

収益モデルの崩れやすさと初期投資のリスク

かつては、ひとつの事業モデルを立ち上げれば、7年、10年と安定した収益を見込める時代がありました。しかし現在、多くのビジネスオーナーが口を揃えて言うのは「業態のライフサイクルが短くなっている」ということです。特に飲食・サービス業においてその傾向は顕著で、オープンから2~3年で来客数が大きく減少し、思うように投資回収が進まないケースも少なくありません。

業態立ち上げ時には、当然ながら出店・内装・人材採用・広告など、初期投資がかかります。そのため、一定期間をかけて安定収益を確保し、回収していくという前提で事業計画が立てられます。しかし、コモディティ化や競争環境の変化がその想定を狂わせ、収支バランスを大きく崩してしまうのです。

競合・嗜好変化によるコモディティ化の現実

ライフサイクルの短命化は、主に以下の2つの要因によって引き起こされます。

● 他社の参入による競争激化
● 消費者の嗜好変化のスピードアップ

ヒットした業態は瞬く間に注目され、模倣されます。特に、立ち上げからすぐにSNSなどで話題になった業態ほど、模倣されやすく、数ヶ月以内に類似店舗が近隣にオープンすることも珍しくありません。また、消費者自身も新しい体験や変化を求める傾向が強く、3年前には革新的だった商品やコンセプトが、今では「どこにでもあるもの」になってしまうリスクがあります。

こうした事業のコモディティ化は、ブランドの「特別感」を奪い、価格競争に陥らせます。その結果、収益性が悪化し、短期間で閉店を余儀なくされることさえあるのです。このような環境変化を見落としたまま初期投資を行い、シミュレーションを組んでしまうと、思わぬ損失を被るリスクがあります。したがって、事業を設計する段階で、市場変化の可能性を織り込む視点が不可欠です。

FC展開の強みと落とし穴──加速と制約のジレンマ

FC化による展開スピードと収益最大化の魅力

業態のライフサイクルが短命化している今、FC(フランチャイズ)化は有力な成長戦略の一つです。とくに「当たり」となる業態を生み出した際、FCモデルで一気に全国展開すれば、短期間で市場を押さえることができます。初期投資を行うのは加盟店側であるため、本部としては資金負担を抑えつつ、自社のブランドと収益を拡大できるというメリットがあります。 実際、多くの成功事例においても、FC化によって一気に市場シェアを取りにいくことで、一定期間内に「初動の収益確保」と「知名度向上」の両立を実現しています。事業ライフサイクルが短い中で、時間を味方につける手段として、FC展開は非常に有効な選択肢といえるでしょう。

投資回収シミュレーションに潜む落とし穴

FC化を進める際には、当然ながら本部として加盟金やロイヤリティ、運営支援体制などの収支モデルを構築します。多くの本部は、数年で投資回収できる計算でシミュレーションを組み、収益を想定します。 しかし、このときに抜けがちなのが「業態のコモディティ化をどう織り込むか」という視点です。仮に出店1年目・2年目は順調に利益が出たとしても、3年目以降に集客力が落ちてきたとき、その収益減少リスクが予測されていないと、回収計画が大きく崩れます。 あるFCアドバイザーは、次のように語ります。

「以前は7年くらいはしっかり利益が出たが、最近は3年もすれば顧客が飽きてしまう。業態の劣化が早すぎて、加盟店が元を取れないケースも多くなっている。」

こうした現象は、とくに単一商材・単一コンセプトで勝負する業態で顕著です。導入初期には話題性があるものの、継続的な改善や新商品開発が追いつかず、結果的に集客が鈍化します。

加盟店が改善に応じない現実

さらにFC展開において、見落とされがちな問題が「加盟店の協力度」です。コモディティ化の兆しが出た際、本部が業態をアップデートしようとしても、加盟店がその施策に追随しないケースは珍しくありません。

● 「もうすぐ投資回収だからリスクは取りたくない」

● 「仕入れの変更や販促への対応が面倒」

● 「人手不足で新メニューまで手が回らない」

本部と加盟店の温度差は、改善スピードを著しく低下させます。これにより、せっかくの改善施策も浸透せず、市場変化に対応できないまま終わるというリスクがあります。 したがって、FC化を進める段階から「業態の改善を続けられる関係性と体制」が構築されていることが極めて重要です。新商品の導入や販促の協働が、あらかじめ仕組みとして設計されていないと、後から改善しようにも動きが取れないのです。

FC化を成功させるための3つのチェックポイント

フランチャイズ(FC)展開を成否の分かれ道にしないためには、初期の事業設計の段階から「仕組みとして成功を組み込む視点」が不可欠です。市場の変化が激しく、業態のライフサイクルが短期化する中で、単に加盟店を増やすことに注力するだけでは長期的な成功は望めません。ここでは、FC化の際に必ず押さえておきたい3つのチェックポイントを紹介します。

ライフサイクルの長さと改善力

1つ目のチェックポイントは、「業態の寿命をいかに長く保てるか」という視点です。これは単に流行り廃りを読むという話ではなく、事業として“磨き続けられるか”という構造の問題です。

本部は初期投資の回収シミュレーションを行いますが、その期間中に業態がコモディティ化し、顧客から飽きられてしまえば、加盟店は想定通りの回収ができず、FCモデル全体の持続性が損なわれます。

そのためには、業態自体が改善しやすい構造を持っていることが求められます。たとえば:

● 商品開発やメニュー更新が可能な調理オペレーション
● 顧客層の変化に応じて変えられるサービス内容
● データ収集と活用による顧客ニーズの検知体制

こうした改善余地の大きさと、本部がそれを主導できる力があるかどうかが、ライフサイクルの長さを左右します。

加盟店との関係性とネットワーク性

2つ目は、加盟店との「関係性」と「ネットワーク性」です。

前章でも触れた通り、事業が成功しても、加盟店が非協力的であれば改善の施策は機能しません。そのため、FC契約時点から「改善を前提とした協力関係を築けるか」が問われます。

● 改善提案が受け入れられる文化があるか
● ロイヤリティに見合った支援体制が整っているか
● 本部と加盟店が双方向で議論できる仕組みがあるか

さらに、FCモデルとして重要なのが「ネットワーク性」です。つまり、加盟店が増えるほど、ブランド力やスケールメリットが働き、個店の利益にも還元される構造になっているか、という視点です。

ネットワーク型ビジネスモデルであれば、加盟店同士の情報共有や協業を促し、エリアごとのプロモーションや人材育成もスムーズに展開できます。結果として、1店舗では実現できなかった改善施策も、グループとして展開できるようになるのです。

改善を支える本部体制の構築

最後に欠かせないのが、本部側の体制です。改善提案や新商品の導入などを加盟店に促すには、本部側が以下のような機能を持っていることが前提になります。

● 商品開発部門や販促部門の機能
● 加盟店向けサポート(SV)の整備
● 収益構造・原価率・オペレーションを分析する経営管理機能

FCモデルは「仕組みで展開するビジネス」です。個々の加盟店任せにせず、変化に応じた業態のアップデートを本部が先導できる体制があるかが、持続的成功の鍵となります。