2025.05.29
仕事の仕方
リモート環境のマネジメント ~ リモート環境下のマネジメントで意識すべきは「コントロール領域」~
リモートワーク環境での部下のマネジメントが変わってきています。
あるニュースでは、リモート環境下で部下がやり切れなかった仕事を中間管理職が行い、中間管理職の負担が増しているという内容が取り上げられていました。つい先日までは、働き方改革で中間管理職の業務負担が増していたのに、今回は、リモートワークの環境の中で、中間管理職の負担が増しているようです。
私が支援している一部上場企業の管理職も、土曜日の夜や日曜日の夜に資料が出てくる事もあり、管理職の負担の大きさを感じています。一方で、リモート環境で、仕事の生産性が大きく変わったという管理職がいる会社もいます。話を伺うと、移動時間が減り、業務管理の負担が減少し、SlackやGoogle Meetなどのツールを活用することで、部下とのコミュニケーションも迅速に行えるとのことです。
この違いは何から生じているのでしょうか?リモート環境の中で、管理職はどのようなスキルを身につけるべきなのでしょうか?違いを生み出しているものの1つに、コントロール領域があるのではと考えました。
コントロール領域とは、リモート環境の中で、部下の状況を把握しコントロールできる領域を言います。具体的には、部下の状況を把握する「情報の質」と「情報の量」です。
以前は、管理職は部下と一緒に行動をし、コミュニケーションを行う中で、その場その場で部下の状況を把握し、部下の活動の精度を上げてきました。手が空いていそうな部下がいればその場で業務を割り振りし、部下の時間を成果に結びつけていました。雑談や移動中のコミュニケーションで、部下の育成をしたり、モチベーション状況を管理していたのです。リアル(対面)の場合は、コントロール領域が非常に広かったのです。
ところがリモートワーク環境下では、一部の管理職のコントロール領域が狭くなりました。結果として、前述のように、リモートワークでも上手く進めている管理職と、そうでない管理職の違いを生み出しているのです。
部下の業務の状況が見えてこなかったり、部下の表情などで都度判断していたモチベーションが分らなくなるなど、部下をコントロール出来なくなっています。
そのため、生産性が下がっている管理職には、部下の状況をコントロールするための、情報の取り方を身につけさせる必要があります。
獲得すべき情報例
上記の内容は、管理職側が積極的に共有し、報告の見本として表示したり、気軽にコミュニケーションを投げかけることで、部下から報告するハードルを下げたりすると良いでしょう。必要であれば、リモートワークの相手側(部下)の表情が表示されるシステムを導入し、疑似オフィスのような環境を設定するのも一つの手かもしれません。
管理職がリモートワーク環境で戸惑っているようであれば、まずは、上記のようなコントロール領域の状況を把握し、部下の情報の量と質を確保するための方法を社内で共有していくと効果的です。
リモートワーク環境下でコントロール領域を広げる上で、さらにポイントを挙げるとすると、業務のPDCAをリアルタイムで回すために、週間スケジュール・プロジェクト設計・案件シナリオといった仮説を最初に組んで、それを土台にPDCAを回していく「前段取り型」スタイルに変えていくと良いでしょう。
結果として、リアルタイムでPDCAを回していた状態から、生産性も大きく向上できる余地があります。