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フランチャイズ失敗の本質とは? 直営店の成功が再現されない理由

2024.06.04

フランチャイズパッケージ

直営ではうまくいった事業が、なぜFC化した途端に失速するのか。その原因は、仕組みの設計と加盟先の力量差にあります。

目次

  1. 直営店とFC加盟店で成果に差が出るのはなぜか
    1. 直営での成功モデルがFCで再現できない現実
    2. 加盟店が抱える「力量の壁」とは何か
  2. 加盟店の力を過信してはいけない理由
    1. 広告費の意思決定が鈍る構造的な理由
    2. 教育軽視と採用難──人材クオリティのリスク
    3. 本業優先という“越えられない壁”
  3. FC展開を成功に導く3つの事前チェックポイント
    1. 標準化と契約条件でブレを防ぐ
    2. 加盟審査基準を妥協しない
    3. 本部の仕組みで「力量差」を吸収する

直営店とFC加盟店で成果に差が出るのはなぜか

直営での成功モデルがFCで再現できない現実

多くの企業がフランチャイズ(FC)展開を検討する際、直営店での成功体験を基にモデルを組み立てます。しかし、実際には「直営店ではうまくいったのに、加盟店では成果が出ない」というケースが頻発します。特に、中長期での収益目標やブランドの広がりを前提とした戦略では、加盟店側での運用が思うように進まず、事業全体の収益性に悪影響を及ぼすことも少なくありません。

この背景には、直営と加盟では「組織としての力量の差」があるという前提が見落とされていることが挙げられます。直営店は本部の指示や支援が届きやすく、採用・教育・広告などの面でも本部の基準をそのまま適用できますが、加盟店では経営の意思決定が現場任せになり、必ずしも同じ水準が保たれるわけではありません。

加盟店が抱える「力量の壁」とは何か

フランチャイズ展開における最大のリスクのひとつが「加盟店の力量の見誤り」です。多くのFC本部では、契約時点での熱意や資金力を重視しがちですが、実際に運営が始まると、日々の業務遂行能力、広告宣伝への投資判断、スタッフ教育への姿勢など、成果に直結する項目で本部とは大きな差が出てきます。

実際、業界によって差はあるものの、一般的には加盟店のパフォーマンスは直営店の6~8割程度になるとされています。これは、単にスキルやノウハウの問題に留まりません。意思決定のスピード、運営への本気度、複数事業を抱えることによる優先順位のズレなど、経営環境そのものが異なるためです。

こうした背景から、「加盟店ならではのリスク」は、FCを拡大するほどに表面化していきます。つまり、FC展開は「スケーラビリティの追求」である一方で、「個別の力量差が集積されていく構造的なリスク」でもあるのです。

そのため、直営と同じような成果を前提とした収益シミュレーションや、事業モデルの設計をそのまま適用してしまうと、初期投資の回収が進まない、改善策が現場に浸透しないなど、深刻なボトルネックとなることが少なくありません。

加盟店の力を過信してはいけない理由

広告費の意思決定が鈍る構造的な理由

FCモデルにおける初期の成否は、しばしば広告宣伝費への投資にかかっています。直営店では、計画的な広告投下により集客を促し、LTV(顧客生涯価値)を見越して初期投資を回収していく設計が一般的です。しかし、加盟店にこの視点を求めることは簡単ではありません。

加盟店の経営者は、自らの資金でリスクを負っており、先行赤字を許容する広告戦略には心理的抵抗を持つことが少なくありません。「本当にその金額で効果が出るのか」「売上が立ってから投資したい」といった声が出やすく、結果的に本来の集客効果が得られないケースが多くなります。

また、広告費は目に見えやすく、他のコストと比べて「削りやすい」対象となりがちです。この意思決定の遅れや萎縮が、事業初期のつまずきを招き、軌道修正が難しい状況を生むことは珍しくありません。

教育軽視と採用難──人材クオリティのリスク

直営店では、店舗運営に関する人材教育に十分な時間とコストをかけるのが一般的です。講師や販売員の振る舞いがブランドの価値を決める以上、人材の質はFC成功の重要な鍵を握ります。

ところが加盟店の場合、「教育にかける余裕がない」「教育期間中の人件費を最小限にしたい」といった事情が先行し、研修の質や期間が圧縮される傾向があります。本部側も、加盟店の経済的負担を軽減しようと、シミュレーション上は教育コストを過少に見積もってしまうことがあります。

さらに、加盟店が自力で人材を確保しなければならない場合、立地条件やブランド力によっては、採用がままならず、スタート段階から「人がいない」「質が低い」といった問題に直面することもあります。直営と違い、採用力や育成力が本部の統制を超える点に、FCモデルの難しさが現れます。

本業優先という“越えられない壁”

FCに加盟する事業者の多くは、すでに本業を持っています。たとえば、学習塾を運営している企業が、空き時間や空き教室を利用してプログラミング教室を展開するというケースです。

この場合、塾の繁忙期には講師や教室を本業に優先的に使うことになり、副業であるFC事業への注力度はどうしても下がります。事業が伸び悩んだときに本業を立て直すため、FC事業が縮小されたり、中止されたりすることも珍しくありません。

この“本業優先”という壁は、いかに本部が改善提案を出しても乗り越えられない根本的な制約であり、ブランド価値の一貫性やサービス品質の維持にも影響を及ぼします。

そのため、本業の影響を最小限に抑えた運営体制を築けるかどうか、また加盟前の動機や目的に十分なすり合わせができているかが、FC展開の成否を分けるポイントになるのです。

FC展開を成功に導く3つの事前チェックポイント

標準化と契約条件でブレを防ぐ

FCビジネスでよくある失敗のひとつが、加盟店による“解釈のズレ”です。同じブランドを冠していても、実際のサービス内容や運営方針が店舗ごとに異なれば、顧客からの評価にバラつきが出てしまい、結果としてブランド価値の毀損に繋がります。

このような事態を避けるためには、業務の標準化が不可欠です。接客・販売・集客・教育といった各オペレーションについて、マニュアルやチェックリストの形で明文化し、誰が運営しても一定の品質を保てる状態にしておく必要があります。

また、契約段階においても、どこまでを本部が担い、どこからを加盟店が担うのか、その分担と責任範囲を明確に定義しておくことが重要です。業態改善が必要になったときに、本部主導で推進できる権限を担保する契約構造をつくっておくことも、長期的な展開を視野に入れた設計といえるでしょう。

加盟審査基準を妥協しない

FC展開が軌道に乗り始めると、つい陥りやすいのが「加盟先の拡大=正義」といった短期的な判断です。確かに、加盟件数が増えればロイヤリティ収入や認知度も上がりますが、力量や姿勢が不十分な企業との契約は、後々大きな問題を生むことになります。

たとえば、集客に必要な広告費を出し渋る、教育への理解が浅く人材の質が確保できない、改善施策に非協力的──こういった加盟店を増やしてしまうと、事業全体の足を引っ張る結果になりかねません。

そのため、加盟審査は「事業経験」「資金力」「人材確保力」「本業との相性」といった複数の観点から行い、厳格な基準を設けて見極める必要があります。また、適性が低い場合には、勇気を持って「断る」判断をすることも、結果として全体の成功率を高める戦略です。

本部の仕組みで「力量差」を吸収する

直営店とFC加盟店では、どうしても運営力に差が生じます。その差を前提とした支援体制を本部側で構築できているかどうかが、FC展開の成否を分ける分岐点になります。

たとえば、加盟店での採用活動を支援する求人テンプレートの提供や合同説明会の開催、教育コンテンツの定期配信といった仕組みは、本部のノウハウを水平展開するうえで有効です。さらには、広告出稿のサポートや地域特性に応じた販促提案など、現場で即活用できる運用支援も不可欠です。

また、成果が上がっている加盟店の取り組みを収集・分析し、他の加盟店にフィードバックすることで、全体の底上げを図ることも可能です。FC本部は単に加盟店を増やすだけでなく、各店の「成果を支援するシステム」としての機能が求められているのです。