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ファシリテーションはどこまで何を身につけるべきか ~中堅・中小企業におけるファシリテーション~

2023.06.05

仕事の仕方

ファシリテーションはチームメンバーのモチベーションを引き出す上で有効なスキルです。何から身に付けるべきか、奥が深いスキルですので、改めて考えてみます。

目次

  1. ファシリテーション4つの段階
    1. ファシリテーションで身につけるべき能力は様々
    2. ファシリテーションにおける会議の4つの段階の注意点
    3. 会議の目的を踏まえて、4つの段階のどこに比重を置くかが大切
    4. 効果的にファシリテーションを行う上では共通言語が大切

ファシリテーション4つの段階

1-1. ファシリテーションで身につけるべき能力は様々

ファシリテーションは、会議で発言をうながしたり、話の流れを整理したりすることで合意形成や相互理解を実現し、組織や参加者の活性化やチームビルディングを実現する為のスキルです。

社員の自主性を引き出すという点で、ファシリテーションは非常に重要なスキルと言えます。試しにファシリテーションをインターネットで検索すると、様々なテーマやスキルが取り上げられており、ファシリテーションの奥の深さを感じることができます。確かに、コンサルティングを行っていると、現場が共感できるアクションを設定する上で、ファシリテーションは、非常に大切なスキルであると日々感じています。

一方で、全てのスキルを身につけようとすると非常に大変です。そこで、本レポートでは、実務経験上、どういった点を念頭においてファシリテーションをどこまで習得していったらよいかをテーマに取り上げてみます。

 

1-2. ファシリテーションにおける会議の4つの段階の注意点

ファシリテーションにおける会議の4つの段階は、ファシリテーションに関心がある方であれば、目にされた内容だと思います。

  1. 共有:目的や目標を共有し、検討する上で必要な情報を確認する
  2. 拡散:会議の目標を達成するために、様々な視点から意見を発言する
  3. 収束:出し合った意見を、整理し、方向性をまとめる
  4. 決定:整理したものを踏まえて、今後のアクションを設定する

ファシリテーションを専門に取り扱われている方からは指摘をいただきそうですが、この4つの視点を意識して運営するだけでも、かなりファシリテーションレベルは向上します。

注意点としては、意思決定権者をしっかりと設定しておくことです。

会社が必要とするレベル、プロジェクトが求めるレベル、お客様が求めるレベルなどの視点で、意思決定し、アクション設定していく意思決定権者の設定が大切になります。この点、進行役であるファシリテーターとは別に意思決定権者がいた方がスムーズになります。意思決定権者はある程度、情報や検討が出そろった時点で、ファシリテーターに整理をうながし、意思決定していく形が望ましいです。

 

1-3. 会議の目的を踏まえて、4つの段階のどこに比重を置くかが大切

意思決定権者がいて、結論があり決定事項があることが、効果的な会議の前提です。ただ、一方で、意思決定権者がいることで、会議が「収束」や「決定」に偏るという可能性があります。現場では、無駄な会議を増やさないことや、働き方改革による残業時間を減らすことが求められ、より短い時間で効果的に結論をだしたり、決定事項を出したりすることが求められますので、より一層その傾向が強くなります。その前提に立った上で、ファシリテーションを考えることがポイントです。

会議の目的を踏まえて、早期に意思決定する必要があれば、「収束」や「決定」を意識し、メンバーへの目的共有やチームの活性化が目的であれば、「共有」や「拡散」の時間を取るようにします。

 

1-4. 効果的にファシリテーションを行う上では共通言語が大切

「共有」や「拡散」を活用する会議かどうかを考えて、活用することが大切というのは前述しました。悩ましいのは、時間がかかるということです。「共有」と「拡散」は、チームが同じ方向を向いて、主体性をもって取り組むという姿勢を引き出していく上で非常に大切なのですが、とにかく時間がかかります。

チームの活性化に必要な情報の共有は、時間投資が必要になります。なんとかこの時間を効果的に行う手段はないものでしょうか?
一つの解決策として考えられるのが、「共有」の型や「拡散」の型を作ることです。「型にはめる」というと、自由な意見が言えないのではと感じる方もいるかもしれませんが、ここでの「型」は、「共有」や「拡散」をする上で、最低限守るべきルールを決めておき、それ以外は自由にやって良いというメッセージを示すということです。そうすることで、若いメンバーも何を土台として発言をしてよいかが分かりますので、より効果的に情報の共有や、ディスカッションを行うことができ、より短い時間で効果を期待出来るようになります。

以上、ファシリテーションを実施する上で、「共有」や「拡散」を活用する会議を選ぶこと、より効率的に「共有」や「拡散」を行いたいということであれば、「共通言語」をつくることを説明させて頂きました。「共有」や「拡散」を2回~3回体験すれば、ある程度のレベルに引き上がります。メンバーの巻き込みが弱いなという管理職の方は、是非、ファシリテーションの4つの段階の視点で会議を運営してみてはいかがでしょうか?