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育成・承継の第一歩は“可視化”から——星取表のすすめ

2025.05.29

その他

承継が進まない――その背景には、スキルの“見えなさ”があるかもしれません。業務の属人化を解消し、計画的な育成を実現するために、今あらためて「星取表」というシンプルな仕組みに注目が集まっています。

目次

  1. 業務承継に立ちはだかる“見えない壁”と星取表の効果
    1. なぜ、スキルの承継は進まないのか
    2. 星取表が「属人化」を打破する
    3. 星取表を軸に育成と計画を両立させる
    4. 星取表導入に向けた3つのステップ

業務承継に立ちはだかる“見えない壁”と星取表の効果

1-1. なぜ、スキルの承継は進まないのか

事業や部門の持続的成長のために不可欠なのが、ベテランから若手へのスキル承継です。しかし実際には、「引き継ぐべきスキルが明確でない」「誰に何を継がせればいいのかわからない」といった課題が山積しています。

特に、社員の平均年齢が高くなる中で、計画的なスキル移管が行われていないと、いざ退職が目前になったときに“引き継ぐ相手がいない”という深刻な状況に陥るリスクもあります。

1-2. 星取表が「属人化」を打破する

こうした承継課題を解消する手法の一つが「星取表」です。星取表とは、各業務や作業に対して「誰がどのレベルで対応できるか」を可視化した一覧表のこと。単なる業務マニュアルとは異なり、「業務の棚卸し」→「担当者のスキルレベル可視化」→「不足箇所の特定」という3段階を通じて、計画的なスキル移管と人材育成の土台を構築します。

たとえば、ある業務に関して「△(補助レベル)」の社員が多いが「◎(指導できるレベル)」の社員が一人だけ、という状況があれば、その人の知見をどう承継するかを早急に検討できます。星取表は、こうした“組織の盲点”を明らかにしてくれるのです。

1-3. 星取表を軸に育成と計画を両立させる

星取表は単なる棚卸しツールではなく、「誰に・どのスキルを・いつまでに承継すべきか」を考える計画管理のツールでもあります。
承継が必要な業務が見える化されれば、人員配置や採用戦略にも具体性が生まれます。さらに、各人の星取表をもとに育成スケジュールを立てることで、OJTや研修も的確に設計できるようになります。

1-4. 星取表導入に向けた3つのステップ

星取表をうまく機能させるには、以下の3つのステップが有効です。

  1. 業務の洗い出しとカテゴリ分け:まずは部門ごとに業務の棚卸しを行い、分類と優先順位づけをします。
  2. 各業務におけるスキルレベル評価:社員ごとに「◎(指導可能)/○(単独実施可能)/△(補助可能)/×(未対応)」などの評価を記入。
  3. 星取表の定期的な見直し:スキルレベルや人員構成は変化するため、半年~1年ごとに更新する運用が理想です。

「退職する直前になってあわてて引き継ぐ」ではなく、「普段から見える化されたスキルマップをもとに、計画的に人を育てる」。その文化づくりが、持続可能な組織運営への第一歩です。

おわりに

これからの企業運営においては、「誰かの代わりがきく仕組み」を日常の中に組み込むことが重要です。星取表は、その第一歩を支えるシンプルかつ強力なツールです。

導入にあたって大げさな仕組みやシステムは不要。まずは一部門から、Excelでもホワイトボードでも構いません。星取表で“承継の見える化”に着手してみませんか?